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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-021

カモシカおよびシカ生息地における餌資源量の推定

*八代田千鶴(森林総研),中川恒祐(岐阜大・応生),野中最子(畜草研),淺野玄,鈴木正嗣(岐阜大院・連獣)


シカは近年個体数増加と分布拡大が全国的に報告されており、農林業被害が大きな問題となっている。このような被害を軽減するためには、シカの個体群動態を把握し、適正な個体数密度の設定および管理を行う必要がある。一方、シカの急速な増加による他の野生動物への影響も指摘されており、カモシカとシカの同所的生息地域では、カモシカ個体数の減少および生息地域の変化が報告されている。本研究では、このような種間関係解明の一環として、カモシカおよびシカが同所的に生息する地域において餌資源量を推定することを目的とした。

岐阜県下呂市に位置する岐阜大学付属位山演習林(5.53km2)を対象として調査を実施した。演習林の植生を3つの区分(極相林、人工林、天然林)と、河川の周囲を河畔林として加えた4つの植生区分に分類した。各植生区分に3カ所ずつ調査エリアを設定し、各エリア内で下層植物の刈り取り調査を行った。調査は2009年2月(冬)、5月(春)、7月(夏)、10月(秋)に実施した。刈り取った植物は草種別に分類し、通風乾燥後重量を測定し、乾物重量として植物現存量を算出した。また各草種別に栄養成分として乾物、灰分、粗タンパク質、繊維、リグニン、総エネルギ-含量を測定した。

植物現存量は冬に減少する傾向にあったが、それ以外の季節では大きな変動はなかった。下層植物種構成は、河畔林ではスゲおよびハイイヌガヤが50-80%であったが、それ以外の植生区分ではササがどの季節も90%以上を占めていた。総エネルギ-含量から推定した餌資源量は秋で最も高く、演習林全体で約6920MJと推定された。


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