ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-252
*中坪 あゆみ, 田中 勝千, 杉浦 俊弘, 皆川秀夫
リモ-トセンシングを用いて収量,品質,および草種構成などの空間分布を把握することができれば,草地の維持管理するうえで有用な情報になりうる。本研究では,飼料作物栽培におけるハイパ-スペクトルセンサの利活用を目的に,採草地のハイパ-スペクトルデ-タ(HSD)と植生情報との関係について検討した。試験地は青森県十和田市で,試験圃場は2000年春に北側半分が更新され,寒冷地型牧草が混播された。2000年に更新されなかった南側半分は,更新後10年以上が経過している。2006年8月25日にセスナ機搭載のAISA Eagle でHSD画像を観測した(波長域:400-1000nm,68バンド)。その結果,近赤外域の主成分画像に特徴が見られていたため,主成分画像からスペクトル特性が異なる4グル-プにわけ,各グル-プ10点,計40点の収量と含有成分を調査した。各グル-プの特徴は,近赤外域の放射輝度値が最も高い値を示す地点をA,最も低い値を示す地点をDとし, BはAよりも低い地点, CはDよりも高い地点とした。Aでは,エゾノギシギシの繁茂が顕著に見られた。Bでは7地点が更新10年以上経過している試験圃場の南側に位置し,草種構成は全てイネ科牧草であった。CとDには,特徴が見られなかったが, 主としてイネ科牧草であった。収量は, Bが最も高く,次いでA>C>Dの順となった。また,近赤外域の放射輝度値が最も高かったAの収量は他と比較してばらつきが大きかった。含有成分は,TDN(%)は, Dで最も高く,次いでC>B>Aの順となった。CP(%)については,D≧A>C≧Bとなった。無機成分3種(P, Mg, K)についてはAが他の試験区と比較して高かった。以上から,近赤外域の放射輝度値を主成分分析することで,エゾノギシギシの空間分布を把握できる可能性が示された。