ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-267
*加藤聡美,竹内史郎(北大・環境科学院),吉田俊也(北大・北方生物圏FSC)
日本の人工林の林冠層はほとんどの場合単一種で構成されている。このような森林は一般に、生態学的安定性や資源利用効率、生物多様性が低いとされていることから、近年、混交林化への関心が高まっている。混交した他の樹種を長期にわたって維持していくためには、樹種間の競争関係を緩和することが必要であるが、これまでの間伐指針は単一種の森林に対してしか開発されていない。そこで、本研究では、広葉樹が混交した34年生アカエゾマツ人工林を対象として、隣接個体との距離や相対的なサイズ、種構成が競争関係に及ぼす影響を明らかにし、間伐指針を示すことを目的とした。北海道大学雨龍研究林の34年生人工林(面積2.65ha)において、侵入した広葉樹(胸高直径10cm以上)のうち優先種4種(ミズナラ、ダケカンバ、キハダ、ハリギリ)について、全240本の対象木から成長錐により表層の年輪コアを採取した。年輪計測値から算出した過去5年間の断面積成長量を、対象木の「成長」を表す指標、また、当該対象木から半径5m以内にある胸高直径10cm以上のすべての立木の胸高断面積合計を、対象木に対する「被圧の強さ」を表す指標とした。これらの実測値をもとに、成長モデルを用いて、アカエゾマツ?広葉樹間の競争関係を解析した。結果をもとに、侵入した広葉樹の樹種に応じて、どの程度アカエゾマツを間伐するべきかを議論する。