ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-282
*柳貴洋(長野大・環境ツ-リズム),三上光一(農環研・生物多様),高橋一秋(長野大・環境ツ-リズム),佐藤哲(長野大・環境ツ-リズム)
荒廃しつつある日本の里山を再生し、多様な生態系サ-ビスが活用される地域社会を築いていくうえで、里山の再生や活用を学ぶ環境教育は重要である。また興味や関心が異なる多様な参加者を対象とするプログラムが求められている。本研究では、活動で初めて出会う参加者同士が楽しみながら学び、活動に参加できる事前準備・学習として、アイスブレイキング型環境教育プログラムを提案するとともに、プログラムの実施と参加者へのアンケ-ト調査からプログラムの有用性を検証することを目的とした。
プログラムは、「アイスブレイキング」(心身の緊張をほぐす、協力し合える環境作り、新しい関係作り)と「環境教育」(参加者の関心・知識・態度・参加を促す)の効果を組み合わせたカ-ドゲ-ムであり、「AUN長野大学恵みの森」で行われる地域公開イベント「植樹祭」「堆肥作り」を対象に開発を試みた。「環境教育」の内容については両者で変化させ、前者は「野生果樹の生態と利用方法の理解」、後者は「堆肥場を利用する動物、人を含む動物同士の関わりの理解」とした。
プログラムとアンケ-ト調査は2010年開催の「植樹祭」と「堆肥作り」で実施した。アンケ-ト項目は「アイスブレイキング」「環境教育」に関する全30項目とし、各回答を点数化(1-4)した値を用いて各項目間の比較と相関分析を行った。
二つのプログラムはともに8割を超える項目で評価点が高く(>基準点2.5)、特に「カ-ドゲ-ムの楽しさ」「野生果樹の名前の記憶」「活動への積極的な参加」「活動の目的の理解」で高い評価点を得た。相関分析から、「積極的で環境教育に関心を持っている人」はプログラムへの評価が高いことが示された。以上の結果から、開発したプログラムは里山活動の事前準備・学習として有効であることが示唆された。