ESJ58 企画集会 T12-4
舞木昭彦(九大・理)
表現型可塑性や迅速な進化(自然選択)のような適応過程は個体群動態に影響する可能性がある。近年の実験によって、迅速な進化は捕食者?被食者の個体群動態を逆位相振動に変えうること、また片方の種は振動するがもう一種はほぼ振動しないといったcryptic cycleと呼ばれる興味深い挙動を引き起こしうることがわかってきた。最近ではこれらの挙動の普遍性を示す試みが理論研究によって行われ始めている。本発表では、[1]これらの挙動が量的遺伝モデルに基づく相互作用形質(捕食者であれば攻撃、被食者なら防御)の適応ダイナミクスによって生じることをまず示す。[2]さらに、捕食者と被食者が共に誘導防御、誘導攻撃と呼ばれる可塑性を共進化的に獲得しうること、[3]そしてそのような可塑性の相互作用によっても迅速な進化で生じるような興味深い挙動が生じうることを示す。