日本生態学会 関東地区会

公開シンポジウム: 環境変動下の生物多様性と生態系機能
Biodiversity and ecosystem functioning under environmental change

概要

日時  2013年5月21日 15:30-18:30

会場  東京大学農学部7号館B棟2階 231/232号室

企画者  森 章(横浜国立大学環境情報研究院)、佐々木雄大(東京大学新領域創成科学研究科)

生命科学の主たるテーマとして、地球上にはなぜ生命の多様性があるのか、そして、生命の多様性にはどのような意味があるのかを解き明かすことが挙げられる。これらの問いに関連して、近年では、生物多様性が生態系の機能性やサービスをどのように支えているのかについての関心が高まっている。つまり、生態系(原生林、半自然植生、農地生態系などの異なる人為影響下の生態系を含む)に多様な生物種が組み合わさって存在することで、食料生産や気候の安定、災害の低減などといった、人間社会が求める数多の生態系の機能性が発揮されるのである。現在、さまざまな環境変動が、自然に存在する生物種の組み合わせ(群集)を改変することが予測されている。その結果として、個々の群集の多様性により発揮される生態系の機能性が変質する可能性がある。このような(ときに望ましくない)変化を引き起こす要因の一つとして、気候変動、土地改変、窒素負荷などが挙げられる。本シンポジウムでは、環境変動に伴い生物多様性がどのように改変されるのか、そして、多様性の変化が生態系の機能性にどのような影響をもたらすのかについて発表を行う。海外からの演者は、北米とアジアの草地生態系を対象に、多様性―機能性(biodiversity-ecosystem functioning)に係る実証研究を実施してきた。長期研究により得られた知見をもとに、今後の多様性研究の展望について議論する。

*日本語解説あり

プログラム

15:30-15:45 概要説明(日本語)
15:45-16:15 Dr. Yu Yoshihara (Tohoku University, Japan),
「放牧地における植物や動物の種数の増加は生態系サービスを向上する」
(Increasing the number of species richness of plant and animal in grazed lands improves pastoral ecosystem services)
16:15-17:15 Dr. Yongfei Bai (Chinese Academy of Sciences, China)
「気候変動に対する草地生態系の応答:モンゴル高原における実証研究」
(Responses of grassland ecosystems to climate change: Evidence from Mongolia Plateau)
17:15-18:15 Dr. Forest Isbell (University of Minnesota, USA)
「植物多様性が変化した要因とその結果:多様性-機能性の長期観測より」
(Causes and consequences of changes in plant diversity)
18:15-18:30 総合討論(日本語・英語)