2004 年 8 月 25 日 (水) - 29 日 (日)

第 51 回   日本生態学会大会 (JES51)

釧路市観光国際交流センター



シンポジウム&自由集会
  時間順 | 内容一覧


2004 年 08 月 02 日 21:35 更新

日本生態学会第 51 回大会案内 (2004.04)

前号でご案内したように日本生態学会第51回大会は大会実行委員会 (神田房行大会会長,齊藤 隆実行委員長) により,下記要領で開催されます. 本号では大会実行委員会企画シンポジウムの紹介とともに大会の概要を再度ご案内します.

会場・日程

〒085-0017 釧路市幸町 釧路市観光国際交流センター・釧路プリンスホテル

参加・講演申し込みは,大会公式べ-ジ (http://jes.ees.hokudai.ac.jp/) で 4 月 30 日まで受け付けています. ふるってご参加ください. ウェブが利用できない場合は, 電子メールないしはファックスで実行委員会宛てに必要事項をご連絡ください. なお,講演要旨の提出については こちら を参照ください.

連絡先

 〒060-0811 札幌市北区北11条西10丁目
 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター
 Tel: 011-706-2590
 FAX: 011-706-3450
 JES51 (JES51は,日本生態学会第51回大会実行委員会の公式略称) 
 担当:齊藤隆 
 電子メール jes51@ees.hokudai.ac.jp (大会実行委員会宛)

大会実行委員会企画シンポジウム

企画シンポジウムの概要が固まりましたのでご案内します.

L1. 日本生態学会のめざすところ ―― 純粋科学,基礎科学,応用科学のはざまで

企画者: 嶋田正和 (東京大学) ・工藤慎一 (鳴門教育大学) ・甲山隆司 (北海道大学)

 近年,生物多様性保全や生態系管理など, 自然科学と社会の接点に位置し生態学に関連するとされる 課題に社会の目が向けられている。

 それに伴って,日本生態学会の中でも, 保全生態分野は毎年の大会で多くの講演を集める 主要なセッションの一つとなっている。 これを受けて当学会は, 保全生態学研究会の雑誌 「保全生態学研究」 を日本生態学会の第二和文誌として取り込み, さらには学会内に新たに生態系管理委員会を設置し, さまざまな環境政策に対して学会としての方針を検討し 要望書を出していく体制を, 今までにも増して強化しつつある。

 しかし,このような形で社会と積極的に関わろうとする 日本生態学会の姿勢は, 本当に学会を構成する個々人に広く受け入れられているのだろうか? 会員個々からの異議申し立ての機会, その是非を時間をかけて議論する場は, これまで明確には用意されなかったように思われる。 日本生態学会は構成員に開かれた組織である。 組織運営に構成員の多様な意見を積極的に吸い上げる努力を惜しむべきではないだろう。

 日本生態学会はどこへ向かうのか? そして,日本生態学会, ひいては自然科学の学術団体の社会的意義, 求められている社会的責任とは何か? 参加者各人にとって, これらを自分自身の問題として考える機会になれば幸いである。

司会: 甲山隆司 (北海道大学)
趣旨説明: 嶋田正和 (東京大学)
パネリスト
巌佐 庸 (九州大学),松田裕之 (横浜国立大学),粕谷英一 (九州大学),
工藤慎一 (鳴門教育大学),平川浩文 (森林総研・北海道),
岡本裕一朗 (玉川大学)

L2. 生態学への北からの視点

企画者:齊藤 隆 (北海道大学・フィールド科学センター)

北海道はいうまでもなく日本のもっとも北に位置する. その気候はアジアモンスーン帯というよりは むしろヨーロッパ型の寒冷・乾燥気候に近い. そしてそこに住む生物の生活やその群集には, 日本の他の地域と違う独特のパターンが見て取れる. 一例を上げれば,寒冷地では,少数の種が多数の個体数で生息する, といった特徴が見られる. このシンポジウムでは,そのような「北」に共通してみられる要素が, どのような力学系の上に成立しているのかを, いくつかのトピックについて分析した結果を紹介し, 最近注目されてきた「南北差」にもとづく 多様な生態学的パターンについて理解を深めたい.

齊藤 隆 (北海道大学・フィールド科学センター)
「『南北差』をめぐる最近の動き (趣旨説明に代えて) 」
時田 恵一郎 (大阪大・サイバーメディアセンター)
「北の一様,南の多様:大規模多種力学系の理論から」
森田健太郎・福若雅章 (北水研・釧路)
「増えるも減るもお里次第:北方性魚類の資源変動と気候変動」
石原 道博 (大阪女子大学・理学部)
「高緯度ほど強くなる植食性昆虫の寄主選好性:化性ー変動仮説の検証」
新妻 靖章 (名城大学・農学部)
「潜水性海鳥の分布と体温維持機構」

L3. 北海道からカムチャッカへ

企画者:石川幸男 (専修大学北海道) ・原登志彦 (北海道大学) ・向井 宏 (北海道大学)

北海道に隣接するロシア極東域の千島列島からカムチャッカ半島は、戦前の調査を除いて、1980年代までは日本に知られることが少なかった。1990年以降、依然としてフィールドワークが容易とはいえない状況下とはいえ、往来が部分的に自由化され、国際的な共同研究も進んでいる。生態学会において、海洋の影響が卓越するこの地域のまとまった紹介はこれまでなく、植物、動物を網羅して研究の現状と問題点を紹介する。温帯から亜寒帯への推移領域に位置するこの地域は、島嶼部分が多いこともあって、陸上動植物に対する環境変動の影響の表れ方が大きい可能性がある。また、海洋環境の変動は、いわゆる北方四島の、豊かな海洋生態系に影響する懸念がある。現地で精力的に調査を行ってこられた以下の五氏に現状を報告していただき、環境変動のもたらす問題と今後の課題を考えたい。

「国際共同研究による千島列島フロラの特性研究」
高橋英樹 (北海道大学総合博物館)
「北海道〜カムチャツカの植生分布とその成因」
沖津 進 (千葉大学園芸学部)
「カムチャツカにおける植生動態と環境変動」
原登志彦 (北海道大学低温科学研究所)
「北方四島の海洋生態系 〜北方四島調査の概要と課題〜」
小林万里 (学術振興会・特別研究員PD)
「オホーツク海の環境変動と生物生産」
中塚 武 (北海道大学低温科学研究所)

L4. 湿原の自然再生

企画者:神田房行 (北海道教育大釧路校) ・中村太士 (北海道大学)

釧路湿原はこの20年あまり急速に変化してきています。その原因はいろいろ考えられますが、はっきりしていることの1つは湿原に流入する河川改修が行われた結果、土砂流入が非常に多くなっているということです。また、湿原周辺の農地開発もおこわれており開発地域からの土砂、糞尿、肥料などの流入も考えられます。そのような中で、湿原環境の復元を目指して1999年には「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」が設けられこれまで様々な検討がなされてきました。また、2003年1月には「自然再生推進法」が施行され、推進法に基づいた「自然再生協議会」が発足して釧路湿原をモデルケースとして自然再生の活動が開始されています。しかし一方では自然再生事業についての疑問や反対の意見を持つ人も少なくありません。シンポジウムでは釧路湿原を舞台とした自然再生予定の現場での調査結果、蛇行河川復元計画などをもとに湿原の自然再生についての考え方や自然保護の観点からの意見などもいろいろと出していただいて活発な議論をおこなえたらと思っています。

挨拶・趣旨説明: 神田房行 (日本生態学会釧路大会会長)
中村太士 (北海道大学)
「釧路湿原流域の現状と課題、そして再生の考え方」
渡邉綱男 (環境省)
「釧路湿原の保全と再生−釧路方式がめざすもの」
平井康幸 (国土交通省)
「釧路湿原再生における河川管理者の取り組み」
中村隆俊 (北海道教育大学釧路校)
「釧路湿原再生のための現地調査報告」
村上興正 (日本生態学会自然保護専門委員会)
「自然再生を考える−自然保護の立場から」
コメンテーター:鷲谷いづみ (日本生態学会会長)

なお,「湿原の自然再生」は公開講演会を兼ねています.

講演要旨の送付方法が変わります

今回から講演要旨はすべてJ-STAGEを通じてオンラインで入力することになります.J-STAGEとは科学技術振興事業団の科学技術情報発信・流通総合システムのことで,J-STAGEに登録すると,その情報はインターネット上でいつでも誰でも閲覧ができるようになります.送付の手間がなくなるだけでなく,大会期間以前から要旨を見ることが可能となり,大会終了後もいつでも閲覧可能です.

登録の手順

  1. 最初に大会公式ページ (http://jes.ees.hokudai.ac.jp/) から参加・講演申し込みをして下さい (2004年4月30日締切)
  2. 登録期間 (2004年5月20日〜6月9日) に生態学会のホームページ (http://wwwsoc.nii.ac.jp/esj/index.html) にアクセスして,注意事項を確認ののち, 「J-STAGEへのリンク」からJ-STAGE のサイトに入り, 説明にしたがって要旨をオンライン入力して下さい.

注意

J-STAGE に要旨が投稿できた場合には上記あてに送っていただく必要ありません (二重に要旨を投稿しないで下さい).

C 会員の方は自由集会以外の発表ははできません. 発表を希望する C 会員の方は追加料金を振り込んで B 会員になってください.