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企画集会 T13

雑食:食物網における直接効果と間接効果をつなぐ

企画者: 難波利幸(阪府大・理), 瀧本 岳(東邦大・理)

 雑食,特に,同じ資源を利用する種間でのギルド内捕食については,1990年前後から活発に研究が行われてきた。数理的研究では,ギルド内被食者とギルド内捕食者の資源利用効率の差と資源の生産性,そして,資源から捕食者に至る直接経路と被食者を経由する間接経路の間のエネルギー伝達効率の比が,多様な多重安定性や複雑な個体群動態の出現を左右することが明らかになっている。

 一方,実証研究では,ギルド内被食者を利用した場合と資源を利用した場合の成長効率のトレードオフが,ギルド内捕食の存在を理解する鍵であることが示唆されている。陸生昆虫群集では,宿主内の寄生蜂が宿主ごと捕食者に食べられるギルド内捕食が生じるが,ギルド内捕食を回避する寄生蜂の産卵行動が資源量に影響されることが明らかになっている。また,河川群集では,雑食性の魚類と水生昆虫類の間にギルド内捕食が生じ,それが底生藻類への栄養カスケードを生むことや,この栄養カスケードによって,本来競争関係にあるはずの雑食性魚種間に片利関係が認められることが注目されている。

 また,3種ギルド内捕食系が食物網の構造や安定性に果たす役割は,より大きな食物網や群集の研究においても注目されている。

 この企画集会では,実証と理論の双方から,雑食に関する最新の研究の成果を紹介していただき,「直接効果と間接効果をつなぐ」ことを意識しながら,幅広くギルド内捕食や雑食が生物群集の構造と動態に及ぼす影響について議論したい。この集会についての情報は,http://www.b.s.osakafu-u.ac.jp/~tnamba/omnivory/index.htmlで提供する。

[T13-1] ギルド内捕食系研究の現状と課題 瀧本 岳(東邦大・理)

[T13-2] ギルド内捕食者になることの代価 *佐藤 智(山形大・農),安田弘法(山形大・農)

[T13-3] 寄生蜂-捕食者間のギルド内捕食とギルド内捕食の回避行動 仲島義貴(帯広畜産大)

[T13-4] 河川中流域の食物網における間接効果が魚種間関係に与える影響 片野 修(中央水研)

[T13-5] ギルド内捕食系の安定性と個体群動態 難波利幸(阪府大・理)

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