| 要旨トップ | ESJ56 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


シンポジウム S22 -- 3月19日14:15-17:15 K会場

陸域生態系の動態を支配する土壌有機物プール:ブラックボックスの解明に向けて

企画者: 和穎朗太(農業環境技術研究所), 藤井一至(京都大・農), 平舘俊太郎(農業環境技術研究所)

土壌には、大気の約2倍、陸上植物バイオマスの約3倍の炭素が有機物として蓄積されており、これらは地球温暖化に伴ってCO2の発生源になることが危惧されている。しかし、土壌有機物の分解・蓄積メカニズムやその化学的実態に関する基礎的な知見は十分ではない。このため、土壌からのCO2フラックスを予測する上で、土壌有機物の正体がわからないまま、温度、湿度、リターの質といった「分解速度」を制御する因子との相関関係をもとに論ずるしかなく、「ブラックボックス」アプローチを取らざるをえない。近年の土壌学分野における土壌有機物研究の発展は著しく、土壌有機物の化学構造や分解・蓄積メカニズムについて新知見が次々と発表されている。陸域の炭素循環は、大気と植生のガス交換という現象のみならず、栄養塩動態および根や微生物の生育環境の制御など土壌有機物を介した生態系機能とも密接に関わっており、多くの分野の研究者が結集して研究を進めなければならないステージにあるだろう。本シンポジウムでは、生態学における炭素循環研究をoverviewするとともに、土壌学にあまり馴染みのない方々にもこれらの新知見をわかりやすく紹介し、土壌の持つ炭素貯留機能や生態系機能の理解につなげたい。

[S22-1] 趣旨説明 和穎朗太(農環研)

[S22-2] 生態学における炭素循環研究: Overview 小泉博(早稲田大・教育・総合科学)

[S22-3] 森林生態系における溶存有機物の動態と機能 藤井一至(京都大・農)

[S22-4] 比重およびサイズによる土壌有機物の分画:各画分の量・分解速度およびその制御因子 和穎朗太(農環研)

[S22-5] 安定的に貯留される土壌有機物の化学的実態:化学構造的特徴および蓄積メカニズム 平舘俊太郎(農環研)

[S22-6] シュミレーションモデルによる土壌炭素動態の長期・広域評価 白戸康人(農環研)


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