| 要旨トップ | ESJ56 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
企画集会 T03 -- 3月18日17:30-19:30 D会場
2003年の「世界自然遺産候補地に関する検討会」において、琉球諸島は登録基準を満たす可能性が高い地域として選定された。琉球諸島の中でも、トカラ海峡と慶良間海峡の間、中琉球に位置する沖縄島北部(やんばる)と奄美大島の森林にはとくに固有種が多い。両地域では、世界遺産登録を遠い視野に置きつつ、森林生態系保護地域や国立公園の設定準備が始まっている。しかし、両地域の固有種は、とくに1990年代初頭頃までの天然林伐採や、近年のマングース侵入によって生息が脅かされてきた。森林利用と外来種問題は両地域のいわば人的影響の双璧であると言える。一方、やんばると奄美大島では社会的背景の相違から、森林利用の規模や歴史などにおいて大きな違いが見られる。これらの根本には生態学的な問題があり、科学的な解析を行いつつ、問題をクリアしていくことが登録基準を満たすための大前提であると言える。
そこで本集会では、各地域において、まず固有生物の生息数の変動とその生態学的要因、とくに外来種侵入と森林利用の影響についてこれまでの研究を紹介する。次に、森林利用や生態系管理など、森林と固有生物との関係に的を絞り、両地域における人的影響の背景、生態学的プロセスの相違、共通点などを確認しつつ、人間活動と固有種の共存への道を探る。
コメンテーター予定:久保田康裕(琉球大学理学部)、佐々木健志(琉球大学風樹館)
[T03-1] やんばるの固有生物の現状と生態系管理の重要性について
[T03-2] 奄美の固有生物の現状と外来種対策の国際ネットワーク構築
[T03-3] やんばるにおける森林利用の過去と現状
[T03-4] 奄美大島における森林伐採の背景と固有種に対する影響