| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T04-1

生態系と群集をむすぶ

仲岡雅裕(北大・北方生物圏センター)

2007年3月の日本生態学会第54回で、「生物群集と生態系をつなぐ:群集生態学の新たなる挑戦」という自由集会を行ってから、はや2年が経ちました。そこでは、「環境変動に伴い生物群集の構造や動態が変化し,それが生態系の構造および機能の変容を引き起こす」,つまり「群集の構造および動態こそが生態系の変動の原動力である」というメッセージのもと、これまで比較的独立して行われてきた群集生態学と生態系生態学の統合的研究の有効性・重要性を議論しました。その成果の一部は、昨年10月に出版された「シリーズ群集生態学4: 生態系と群集をむすぶ(京都大学学術出版会)」にまとめることができました。ただし当然ながら、この一冊に掲載することができたのは、本分野に関するさまざまな課題のごく一部にすぎません。今回は、本書の内容、本書に対する批評などを紹介しながら、群集生態学と生態系生態学の統合的研究の「さらにその先」について、参加者の皆様と議論したいと思います。具体的には、(1)さらに進歩し続ける元素分析やリモートセンシングなどの最先端の技術は、本分野の研究にどのような革新をもたらすか、(2)ますます高まりつつある生物多様性保全や地球環境問題解決に向けた社会的要請は、本分野の研究をどのような方向に導くか、(3)生物群集と生態系の「時空間スケール」はどのようにとらえるべきか、(4)さまざまな階層レベルにおける生物多様性、特に遺伝的多様性や景観の多様性の変動は、生物群集や生態系の変動とどのように結びついているか、などの点について検討したいと思います。


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