| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
企画集会 T11-4
放牧地生態系の持続的管理手法の開発とその応用は、生態学の理論体系と密接に関連している必要がある。しかし、放牧地管理に関する現在の研究においては、放牧地生態系を捉える理論的な概念が二極化しており、現実の系に即した管理への応用が達成されていない。そのうちの一つ、equilibrium conceptsは、植生動態は連続的で可逆的な変化に特徴づけられるという考え方に基づいている。一方、non-equilibrium conceptsは、植生動態は不連続で不可逆的な変化に特徴づけられるという考え方に基づいている。本講演では、モンゴルの放牧地生態系を対象として、放牧地生態学において重要なこれらの概念の強みと弱みを整理しながら、生態学的閾値(ecological threshold)の考え方を研究の枠組みの中心に据えることにより、いかにしてこれらの概念を柔軟に取り入れた生態学的管理基準が抽出できるのかということを簡潔に報告する。