| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
企画集会 T28-4
進化生物学は、迅速な進化や表現型可塑性によって生物の形質が適応的に変化する現象を明らかにしてきた。一方、生物の形質が生物間相互作用の強さや種類を変えることは、生態学ではよく知られている(たとえば、体サイズの違いが2者間の相互作用を変えるなど)。生物間相互作用に影響する形質が迅速な進化や表現型可塑性により変化するなら、相互作用は改変され、相互作用によって生みだされる個体群動態や群集構造にも影響が波及するはずである。逆に、個体数や群集構造の変化は自然選択の強さや方向を変え、その結果、形質の適応的変化をもたらす。このように、進化生物学の現象と個体群・群集生態学の現象は、遺伝子型−表現型−個体群−群集という生物学的階層を横断するような形で相互に連関していると予想されるが、その具体的メカニズムや現象の実態を明らかにした研究は数少ない。
本講演では、私たちが現在取り組んでいるプランクトン実験生態系を用いた研究や他の研究事例を紹介しながら、上記のような進化生物学と個体群・群集生態学のつながりを議論したい。