| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


シンポジウム S02-2

COP10、2010年目標、ポスト2010目標など生物多様性に関する日本と世界の状況

鳥居敏男(環境省自然環境計画課)

我々の生活を支える生物多様性を保全し、その持続可能な利用を確保するためには、生物多様性の現状を正しく理解することが必要である。しかしながら、生物多様性についての国民の認識は低く、昨年6月に内閣府が実施した世論調査においても「言葉を聞いたことがある」と回答した者の割合は36.4%であった。国民や事業者に生物多様性の状況をわかりやすく伝えることで、それぞれの消費行動や事業活動などにおいて、適切な配慮につなげていくことが重要である。

また、行政にとっては、生物多様性国家戦略に位置づけられた施策をはじめ、政策の課題や効果を把握し、よりよい政策決定に活用していくために、生物多様性の現状を的確に把握することが重要となる。

しかし、これまで我が国の生物多様性の状況を総合的かつ科学的に示す資料は必ずしも十分であったとは言えず、生物多様性総合評価の活用が期待されているところである。

他にも、生物多様性総合評価の結果は、今年10月に愛知県名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向けて諸外国に日本の状況や評価方法を知ってもらう他、諸外国が自国の評価を行う際の参考として活用されることも期待される。

本シンポジウムでは、生物多様性条約の戦略計画の一部で、「現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」といういわゆる”2010年目標”とCOP10で議論される2010年以降の新たな目標(”ポスト2010年目標”)等に関する国内外の議論の動向と、この生物多様性総合評価との関連も含めて、生物多様性総合評価の意義とその活用の可能性等について述べたい。


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