| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T20 -- 3月18日15:15-17:15 J会場

普通種がいなくなるとき−水田地帯の生物多様性

企画者: 夏原由博(京都大学), 大塚泰介(琵琶湖博)

水田は我が国の低地面積の45%を占め、モンスーンアジアを特徴づける氾濫原や湿地の代償として生態学的に重要である。水田地帯にはタガメなど多くの絶滅危惧種が生息する一方で、自然保護区として守られることはない。しかし,現在直面している問題は、アキアカネやトノサマガエルなどこれまで普通種と考えられていた生物の減少である.

生活や生産の場である水田地帯で生物多様性を保全するためには、農家や市民が水田の生物多様性の価値を認識して、利用しつつ保全しなければならない。トキのような有名な生物がいなくとも、地域が育んできた重要な生態系が存在し、安全で 生物多様性に配慮した農業によって生き物ブランド、魚など副産物、天敵増加と いった生態系サービスが得られる。そうした生態系サービスを効果的に得られる 仕組み作りが生物多様性保全の取り組みが今後重要になるであろう。本研究では,生物分布や環境、社会のデータを集め、地理情報システムを用い て分析し、地域ごとの特色を見いだすための手法を開発する。そして、それぞれ の水田で、どのような生態系が成り立っているか比較し、生物多様性を高める方 策を実験操作を交えながら模索することを目的としている。

今回は,鳥,両生類,魚類,昆虫,プランクトンについて,現況の報告を中心に行う.

司会:大塚泰介

[T20-1] 主旨説明:水田の文化と生物の多様性 夏原由博(京都大学)

[T20-2] 琵琶湖周辺のランドスケープの違いによる鳥・両生類の特徴 天野一葉・夏原由博(京都大学)

[T20-3] 琵琶湖周辺の農業用水路網が魚類群集の保全に果たす役割 前畑政善(琵琶湖博)・金尾滋史(多賀町博)・水野敏明(琵琶湖博)・大塚泰介(琵琶湖博)

[T20-4] 滋賀県における水田水生昆虫普通種の分布状況とその成因 日鷹一雅(愛媛大・農)・向井 宏(京大)・中西康介(滋賀県立大)・本林 隆(農工大)・横山(大阪府大)

[T20-5] 水生・湿生RDB植物を指標にした日本の水辺類型 鎌田磨人・熱田尚子・田代優秋(徳島大学)


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