| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T23 -- 3月18日17:30-19:30 C会場

群集生態学の新しい展開:生物群集とは何か

企画者: 近藤倫生(龍谷大・理工,JST・さきがけ), 大串隆之(京都大・生態研)

群集生態学は、生物群集の構造・動態におけるパターンとメカニズムの理解を目標としている。この目標を達成するためには、生物群集とは何であるかという「生物群集観」が不可欠である。現在の群集生態学において指針となる、主要な生物群集観のひとつは、「生物種間の相互作用が個体群動態を駆動し、その結果、特定の群集構造が成立する」というものである。たとえば、多種共存の問題は「資源競争のもとではいずれ競争排除されることが予測される競争劣位種の個体群を維持する機構はなにか」という問題に帰結する。この生物群集観は、最新の知見のもとではどのように様相を変えるだろうか?あるいは、この群集観は根本的には変わることはないのだろうか?

本企画集会では、進化・適応、種間相互作用ネットワーク、生態系過程、空間構造・スケールといった群集生態学に新しい進展をもたらしたさまざまな切り口から、この問題に迫りたい。「趣旨説明」において種間相互作用と個体群動態から生物群集を理解するという、具体的な「群集理解の方法論の雛形」を提示する。各話題提供者は、それぞれの異なる切り口から、この方法の限界と問題点について研究例をレビューしつつ解説し、今後の生物群集観の方向性を論じる。

[T23-1] 趣旨説明:生物群集理解の基本的枠組みと問いかけ 近藤倫生(龍谷大・理工,JST・さきがけ)

[T23-2] 進化する世界でつながる生物:赤の女王と群集生態学 東樹宏和(産総研)

[T23-3] 表現型可塑性が生みだす生物群集ネットワーク 大串隆之(京都大・生態研)

[T23-4] 見過ごされた消費者の役割:生物多様性−生態系機能の関係 加賀田秀樹(京都大・生態研)

[T23-5] 食物連鎖の長さと支配パラメーターとしての生態系サイズ 瀧本岳(東邦大・理)


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