| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T08-1

総論および淀川の外来生物の現状と課題

村上興正(京都精華大学)

淀川における外来種対策に関しては、2008年に、淀川環境委員会の中に淀川外来種影響対策検討会WGを設置して、活動を行っている(演者がWL)。活動内容は、淀川における外来種対策の基本方針を策定することを目標として開始された。まず淀川における外来種リストの作成を行い、その中で対策を優先すべき種の選定作業に取り組んだ。選定に当たっては、定着の状況と影響度の組み合わせでタイプ分けを行うとともに、被害の程度に応じて被害甚大種、被害危惧種、準被害危惧種、要注目種に分けた。また淀川で保全すべき場所を選定し、そのうち外来種の影響の大きな場所を選び、対策優占場所の選定を行った。対策を優先すべき種と場所のクロスチェックを行うことで、淀川での対策優先順位の決定をおこなうべく努力を行ってきた。これを一般の方にも分かりやすい形にすることとして淀川侵略的外来種ワースト50の選定を行った。このような基本的な取り組みを行っている一方、現実には外来魚の急増によるイタセンパラの絶滅を含むタナゴ類を含む在来魚の激減や、2007—8年にボタンウキクサの大発生による被害等が起きたために、それらの侵略的外来種に対して、緊急対策が必要となった。そこで外来植物では、ボタンウキクサ、アマゾントチカガミ、ミズヒマワリに関しては根絶、ホテイアオイ、アゾラクリスタータ、ナガエツルノゲイトウ、オオフサモに関しては制御を目標に、技術開発を含めて対策に取り組みつつある。また、外来魚ではオオクチバスとブルーギルは局所的な根絶を目標として、城北ワンド、楠葉ワンド等ワンドを中心に対策を実践しつつある。

今回の講演では、前半で外来種対策の総合的な取り組みを紹介した後に、後半で外来植物や外来魚に対する具体的な取り組みの紹介を行うことで、論議を喚起したい。


日本生態学会