| 要旨トップ | ESJ58 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
企画集会 T09 -- 3月9日 9:30-11:30 D 会場
生物の形質は、個々に独立して進化するわけではない。複数の形質が組み合わさって機能する場合、これらの形質は相関して進化することによって適応的になる。ある形質の進化が生物の生活条件を変化させる場合、その変化が他形質の適応進化の引き金になる。実際、生物にはシンドロームと呼ばれる相関した形質が見られたり、生態的形質の異なる集団では対応した諸形質の違いが観察されたりする。また、異なる形質が共通の遺伝的基礎を持つ場合、形質間に遺伝相関が存在し、1つの形質が進化すれば他の形質も進化する。その結果、非適応的な形質が進化することもあるため、遺伝相関は適応進化の障害にもなる。このことは、有用生物の遺伝的改良においても重要である。
本企画集会では、さまざまな生物の形質間の相関について遺伝学および進化生態学の実証研究を紹介する。それらの話題の提供を通して、生物の適応進化を形作る上で形質間の相関がどのような意義を持つのかを議論したい。
[T09-1] 遺伝的基盤を有する行動シンドローム: 擬死行動と歩行活動性の遺伝相関
[T09-2] 天敵昆虫の遺伝的改良に伴う行動および生活史形質の変化
[T09-3] キスゲ属における送粉シンドロームに関する花形質の遺伝的基礎
[T09-4] 資源獲得競争とオス繁殖投資との相関関係
[T09-5] 暴かれた遺伝子座内性的対立:雌雄間の遺伝相関が適応進化を妨げる