| 要旨トップ | ESJ58 企画集会 一覧 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T11 -- 3月10日 9:30-11:30 C 会場

生態学者のためのゲノミクスアプローチ~理論、手法から実証まで~

企画者: 手塚あゆみ(東北大・院・生命科学), 山道真人(総研大・生命共生体進化学)

近年の分子遺伝学的手法の発展と、集団遺伝学的理論・バイオインフォマティクスの発達は、生物学全体に大きな影響を与えている。生態学も例外ではなく、ゲノム情報を活用して生態学的現象に迫る研究が数多く行われ、それらは「エコゲノミクス」と呼ばれている。これらの研究により、遺伝情報を活用することで進化動態や個体群動態、更には群集構造への理解が深まりうることが示されており、今後ゲノミクスアプローチの重要性は更に増していくだろう。その一方で、一般の生態学者がゲノミクスアプローチをとる際は手法の選択や扱いに戸惑うことも多く、依然として敷居が高いのが現状である。

本集会では、分子生物学のモデル生物だけでなく、非モデル生物も対象としたゲノミクスアプローチを、理論・手法に加え実証例までを通して紹介し、エコゲノミクスがどのような生態学的な問いに応えうるのかを提示することで、ゲノミクスアプローチがより浸透することを目指したい。

はじめに生態学会誌で「始めよう!エコゲノミクス」を連載している山道が集団遺伝学のコアレセント理論について解説を行う。次に、牧野がバイオインフォマティクスにより、非モデル生物でも可能なマーカー作成を説明する。その後、実証例として手塚と奥山がそれぞれ、ゲノミクスアプローチにより明らかにした、適応形質の原因遺伝子やその規定する形質の進化過程などについて紹介する。最後に、会場からの質問・意見も交えて、今後のエコゲノミクスについて議論したい。

[T11-1] 集団遺伝学と生態学 山道真人(総研大)

[T11-2] 比較ゲノム解析による網羅的プライマーデザイン 牧野能士(東北大)

[T11-3] グッピー色覚遺伝子にかかる選択の検出 *手塚あゆみ(東北大),笠木聡(東大),河村正二(東大),Cock van Oosterhout(Univ. Hull),河田雅圭(東北大)

[T11-4] 形質、遺伝子、適応をつなぐ−新しい多様性生物学への挑戦− 奥山雄大(科博・植物)


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