| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T20-2

草原のfacilitation/competitionをswitchする要因を探る

吉原 佑(東北大・農)

植物-植物間の正の相互関係はFacilitation、負の相互関係はCompetitionであり、一般的にストレスの高い環境ほどfacilitationがより重要な生態的プロセスとして働いていると考えられている(SGH:stress gradient hypothesis)。Facilitationは回復のプロセスを促進する応用的手法として注目されているが、その応用のためにもこのFacilitation/Competitionのバランスを変化させている要因を特定することが重要である。このバランスに影響を与える要因として水分の利用性のような外的な環境要因だけでなく、内的要因として植物の生育ステージ、植物高、分類群の近接性などがある。乾燥・半乾燥草原では多くの研究でfacilitationが報告されていることから、草原では特に土壌水分がそのバランスを変化させている要因(すなわち水分ストレス)として考えられているが、詳しくはわかっていない。

そこで、本講演では大陸スケールで草原の低木によるfacilitationを調査した研究を中心にレビューし、Facilitation/Competitionの重要性のバランスを変えている要因を探る。また、演者が関わっている研究事例として、モンゴルの灌木の流砂捕捉によるfacilitationのマルチスケール評価と化学量論による種の共存メカニズムの解明、大型イネ科草本の糞尿捕捉によるfacilitationを紹介する。


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