| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
企画集会 T21-4
生物間相互作用による自然選択は,種間の共進化を駆動するばかりか,種分化の引き起こす力にもなりうる。そのため生物多様性の創造過程を理解するには,生物群集と生物間相互作用の両方の進化的な成立過程をあきらかにすることが重要である。いっぽうで,種多様性は島の面積と強く相関することがよく知られている。そのため面積の異なる島間では生物群集の組成に違いが生じやすく,結果として生物間相互作用の構造と強さに明瞭なコントラストがしばしば見られる。琉球列島の南部には,セダカヘビ類と呼ばれるカタツムリやナメクジを専食するヘビが知られている。またこの地域で多様化している大型のカタツムリにニッポンマイマイ属があり,その一部には,セダカヘビに対して特異的と考えられる防御形質を進化させたものや,その結果として種分化を起こしたものが含まれる。本発表では,セダカヘビ類とエサであるニッポンマイマイ属の共進化と種分化が,島の面積に応じてどのような動態を見せるかを検討してきた一連の研究について紹介する。