| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(口頭発表) H1-03 (Oral presentation)

一般化線形モデルにおける交互作用の意味−2次式の場合

粕谷英一(九州大・理・生物)

生態学におけるデータ解析に一般化線形モデル(GLM)などが広く適用され、以前に比べてはるかに複雑なモデルを使った分析が可能になっている。ある説明変数が目的変数にあたえる影響は、他の説明変数がどのような値であるかによって異なることも多い。このような依存性をはじめ説明変数を単純に独立な形で入れただけでは説明できない目的変数の変動を扱うのに、実際の使用が簡単なこともあり、交互作用(interaction)がよく使われている。

交互作用の変数はそれぞれの説明変数の積を値としており、交互作用の検出には一般に交互作用の変数だけでなくそれぞれの説明変数自体(交互作用に対して、主効果[main effect]と呼ばれる)をも含んだモデルを使う必要がある。交互作用の変数を含むモデルでは、説明変数自体の係数(主効果の強さ)は、他の説明変数の値がゼロであるときの、問題の説明変数が目的変数に与える効果の大きさという意味となる。そこで、分析者が説明変数自体の係数として期待した意味と外れてしまう可能性がある。

生態学などでは、説明変数の中間的な値で目的変数が最大値をとると考えられることも多く、説明変数の一次の項だけではなく二次の項も含んだモデルが適切だということもある。説明変数の二次の項も含んだモデルの場合の、交互作用の意味や交互作用の変数および主効果の変数の意味はほとんど検討されてこなかった。いくつかの可能性の高いケースを想定して、それらがどのような意味を持つのか検討する。また、分野によっては標準的な手順として使われる、説明変数のセンタリング(サンプルの平均をゼロにしておくこと)の効果についても述べる。


日本生態学会