| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-015 (Poster presentation)

アマゾン天然林の小地形区分における森林の構造とギャップ動態

*飯田滋生(森林総研北海道),八木橋勉(森林総研東北),諏訪錬平(森林総研),田内裕之(森林総研四国),九島宏道(森林総研多摩),N. Higuchi(国立アマゾン研究所)

アマゾンの森林の大部分は雨期の増水期に浸水しないテラフィルメと呼ばれる立地に成立している。テラフィルメの地形は相対的な標高と傾斜によって、標高の高い平坦地であるplateauと”baixio”と呼ばれる谷地の低部、および両者の間の斜面であるslopeに大きく3区分される。アマゾン地域では地形によって土壌の理化学性が異なり、地上部バイオマスは底部のbaixioで低い事が報告されている。しかしながら、バイオマスの変異は土壌の理化学性だけでは十分に説明できていない。

本研究では、ブラジル中央アマゾンのマナウス近郊のテラフィルメに成立する自然林に設置した18haの試験地において、3地形区分間で地上部バイオマス、樹木の種組成および林冠ギャップ動態の比較を行った。

推定地上部バイオマスは、baixio(283 Mgha-1)は、plateau(353 Mgha-1)およびslope(343 Mgha-1)よりも小さかった。主要樹種の種組成は、baixioはplateauおよびslopeと比較して相対的に違いが大きかった。また、ギャップの形成速度および修復速度のそれぞれは、baixio(0.75 %yr-1, 1.09 %yr-1)は、plateau(0.37 %yr-1, 0.43 %yr-1)およびslope(0.31 %yr-1, 0.62 %yr-1)よりも約2倍の大きな値を示した。これらより、地形による土壌の理化学性の違いだけではなく、地形区分におけるギャップ動態および樹種構成の違いもまた地形区分におけるバイオマスの違いに影響していると考えられた。


日本生態学会