| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-326 (Poster presentation)
■はじめに
放棄竹林の面積拡大は周辺植生の植物の種多様性の低下を引き起こすと懸念されている。皆伐による竹林の面積拡大抑制には再生したササ状の稈を定期的に刈り取る必要があり、コストがかかる上、管理を怠れば早期に林に再生してしまう恐れがある。しかし、シカ高密度生息地域においては再生稈がシカが採食される可能性が高く、皆伐によってでも低コストで竹林再生を抑制・根絶する効果が期待できる。
そこで本研究ではシカ高密度生息地域である兵庫県豊岡市出石町暮坂において、モウソウチク林内に防鹿柵区を設け、皆伐前後の植生変化を調査し、シカ採食の有無による皆伐後の竹林再生への影響を明らかにしたので報告する。
■調査方法
林内に防鹿柵区および無柵区を各1区、各区内に2m×2.5mの植生調査区を6区設置した。皆伐後に防鹿柵を設置し、植生調査は皆伐前(2010年7月)と皆伐1年後(2011年11月)に行った。植生調査では各階層の階層高(m)、植被率(%)、出現種の被度(%)を記録した。
皆伐前後の種数や各階層の出現種の被度の増減の、防鹿柵の有無による差についてはGLMを用いて解析した。
■結果
(1)モウソウチクの被度の変化
皆伐により各区の高木層に優占していたモウソウチクは消失したが、翌年秋にはその平均被度は柵区内ではS1層で60%、S2層で5.8%、H層で0.03%にまで回復した。また無柵区ではS1層、S2層では確認されず、H層で1.7%であって防鹿柵区よりも回復量が多かった(p<0.001)。
(2)5m2あたりの種数の変化
柵区では皆伐前後で16.0種から26.0種に、無柵区では18.0種から21.2種に増加したが、その増加量は柵区で有意に高かった(p<0.05)。
(3)構成種の被度の増減
当日発表する。