| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-335 (Poster presentation)
日本固有の種であるニホンカモシカ(以下、カモシカ)は、狩猟による著しい個体数減少により、1955年に特別天然記念物に指定され保護対策がとられてきた。その結果、本州の中部地方や東北地方では個体数は回復し分布域も拡大してきたが、九州地方では深刻な減少傾向が続いている。環境省のレッドリストでは絶滅のおそれのある個体群、県のレッドリストでは絶滅危惧IB類(熊本県)、絶滅危惧II類(大分県)、その他保護上重要な種(宮崎県)に区分されている。糞塊法による推定生息数は、九州全体で1994−1995年の2209頭から2002−2003年の643頭に大幅に減少し、その後の調査でも減少傾向が続いている。その原因として、近年急増したシカとの競合が指摘されているが、実態は明らかではない。そこで、九州地方のカモシカの生息状況を明らかにすることを目的として、自動撮影カメラ法による生息調査を実施した。調査は2012年5月から開始し、過去にカモシカの生息が確認された熊本県と宮崎県の森林内において自動撮影カメラを設置し、月1回撮影された画像を確認した。熊本県ではカモシカは撮影されず、一方シカは標高にかかわらず高頻度に撮影された。宮崎県でもシカの撮影頻度が最も高かったが、少数の地点において1~数カ月に1回の頻度でカモシカの撮影画像を得ることができた。