| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-350 (Poster presentation)
マイクロチップの装着による個体識別とトランスポンダーを用いた個体の移動状況の把握は、様々な動物調査で採用されるようになってきたが、小型サンショウウオ類を対象とした例は多くない。そこで本研究は、マイクロチップを装着したクロサンショウウオHynobius nigrescensの行動を追跡し、生息地利用を明らかにするとともに、本手法の技術的な課題を明らかにすることを目的とした。調査地は、一般国道253号線八箇峠道路(新潟県十日町市)近くの小型サンショウウオ類の産卵池とその周辺とした。2011年・2012年の5月に捕獲調査を実施し、マイクロチップ(Trovan社製,長さ約11mm×直径約2mm)を装着、各種計測後に放逐した。2011年の夏期(7月)、秋期(9月)、積雪期前(11月)、融雪期(3月)に、サンショウウオの季節移動の実態把握のため、マイクロチップリーダーにより個体を探索した。あわせてマイクロチップリーダーを用いた小型サンショウウオ類の探索方法の有効性を検証するため、マイクロチップリーダーでの探索後、ネストトラップ法、ピットフォールトラップ法、見つけどり法により発見漏れ個体の有無を確かめた。個体を確認した場合は、マイクロチップID(装着個体のみ)と体サイズ、確認箇所の位置と環境を記録し、放逐した。マイクロチップが未装着の個体については、マイクロチップを装着した。さらに、道路によって生息地が分断された個所に設置された道路横断施設の利用状況をモニタリングするために、マイクロチップリーダーアンテナ(Dorset社製、縦500㎜×横500㎜)と据置型リーダーにより、マイクロチップIDと通過日時を記録した。本発表では、これらのデータをもとに報告する。