| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-358 (Poster presentation)

人工衛星ALOSを用いた北限域のブナ林のモニタリング手法の開発

*石井潤(東京大・農),大谷雅人(森林総研),齋藤均(黒松内町ブナセンター),鷲谷いづみ(東京大・農)

日本の落葉広葉樹林の主要構成樹種であるブナは、20世紀には保全よりも伐採が卓越したが、今日では再生の取り組みも始まっている。生物多様性保全に寄与するブナ林の再生においては、森林植生全体をモニタリングすることが望ましい。たとえば、時に下層で優占種となるササ類は、更新稚樹に大きく影響する要因として、その分布を把握する必要がある。

本研究では、北海道南西部の黒松内低地帯周辺のブナ北限地域において、人工衛星ALOSのデータを活用したリモートセンシングによるブナ林の生物多様性保全のための広域モニタリングの可能性を検討する。ALOSは、2006年にJAXAが打ち上げた地球観測衛星であり、4バンド(青、緑、赤、近赤外光)のスペクトルデータを空間分解能10 mで取得することが可能で、多様な森林タイプがモザイク状に分布する日本の森林植生のモニタリングに適していると考えられる。現地調査データは、30方形区(30×30 m)のブナの被度(%)データと159地点の植生タイプデータを用い、ALOS画像は、ブナの展葉が終了する時期(ブナは他の樹種より早い時期に展葉し、その若葉は淡い緑色をして目立つ)である6月中旬と、樹木の展葉前でササ類が上空から直接観察できる4月下旬に撮影されたものを用いる。これらのデータに基づき、対象にふさわしい解析と地図化の手法を検討した。


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