| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-362 (Poster presentation)

三瓶山火入れ草原におけるオキナグサの生育環境

*井上雅仁(三瓶自然館),高橋佳孝,堤道生(近中四農研センター)

オキナグサPulsatilla cernua Spreng.はキンポウゲ科の多年草で,日当たりのよい草原や河川敷に生育している.生育場所である草原の多くは,火入れや放牧などの管理により維持されてきた半自然草原であるが,管理放棄などによりその面積は著しく減少してきた.このような生育場所の減少や園芸採取などにより,多くの都府県で絶滅危惧種となっている.

島根県の三瓶山の半自然草原にもオキナグサがみられ,県内に残る数少ない自生地となっている.同地の西の原と呼ばれる場所には,毎年春の火入れにより維持されているススキ草原が残っている.この草原の中にはオキナグサの生育がみられるが分布は一様ではなく,生育環境の違いなどを把握することは,今後の保全を検討する上で重要と考えられる.

そこで本研究では,三瓶山の火入れ草原におけるオキナグサの生育環境を把握することを目的とし,植生構造や土壌条件などの調査を行った.現地では2m×2mの方形区を,オキナグサの生育がある場所に10箇所,生育がみられない場所に20箇所設置した(それぞれ生育区,対照区とする).植生構造の調査としては,各方形区で植生高,各種の高さと被度などを記録した.土壌条件の調査としては,方形区周辺から土壌を採取し,土壌pHや有効態リン酸などを分析した.

平均植生高は生育区で0.91m,対照区で1.47m,優占種であるススキの被度はそれぞれ39.0%,76.6%であった.植生構造の特徴としては,生育区では植生高が低く,優占種であるススキの被度が低いことがあげられた.土壌条件については,pH(H2O)は両区で大きな差はみられなかったが,有効態リン酸は生育区で低い傾向にあった.火入れ草原の中では,貧栄養で植生高の低い場所が,オキナグサ生育地として適していることが示唆された.


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