| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-366 (Poster presentation)
半島マレーシアでは1980年代以降、丘陵フタバガキ林において天然林の択伐がすすめられている。択伐施業に際してSelective Management System(SMS)と呼ばれる管理方法がとられているが、この方法のもとでは択伐後に残存木は順調に成長し30年ほど後には2回目の択伐が可能になると想定されている。しかしながら、長期モニタリングの記録からは数十年程度の短期間で種組成や材積が回復するとは考えられず、持続的に森林資源を利用していくためには管理方針の改定が必須である。森林を取り巻く環境の変動を考えればより強固な科学的提言をおこなうために、一地点での長期観測だけではなく複数地点での事例も必要である。そのため、伐採履歴の異なる複数の林班に新たな調査区を設置し、伐採履歴と現在の森林構造との対応関係について検討した。
調査地は半島マレーシアの中央部に位置するセマンコックおよびウルセランゴール森林保護区である。6つの0.5ha調査区を、伐採による攪乱強度および伐採からの経過年数の異なる6つの林班に設置した。調査区内の胸高直径5cm以上のすべての立木を対象に毎木調査を実施した。またこの地域で優占種となり主要な木材資源でもあるShorea curtisii(フタバガキ科)については、樹高30cm以上で胸高直径5cm未満の稚幼樹についても調査区全面において樹高を測定した。調査区内に残る伐根やトラクター道を記録するとともに、過去に撮影された空中写真から伐採による攪乱の強度を推定した。これらの情報から伐採による攪乱と現在の種組成・森林構造・優占種の更新状況との関係について考察する。