| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-374 (Poster presentation)

北海道上美唄湿原の植生劣化要因の検討

*島村崇志(道総研・環境研), 高田雅之(法政大)

北海道の上美唄湿原は、面積約6haの低地帯の小湿原で、かつて石狩川流域に広がっていた大湿原群の一部である。本来はミズゴケ湿原であったが、現在は湿原外植物のクマイザサやヤマウルシが一面に繁茂し、高木にまで生長したシラカンバが湿原中央部でみられるなど乾燥化が著しく進行した植生となっている。これらの湿原植生の劣化要因を明らかにすることを目的として、空中写真判読による植生変化の定量化と、植物群落の空間的な偏在性を明示し、植物群落と排水路等との位置関係に着目して解析を行った。

空中写真の判読には、1962年~2007年に撮影された9時期分を使用し、湿原内を、1)クマイザサ群落、2)木本群落、3)湿原植物群落の3タイプに大別した。また、湿原を取り囲む排水路の他、湿原内に掘られた素堀溝の位置も併せて記録した。クマイザサ群落は1962年当初にも認められたが、湿原南側の排水路付近のみであった。その後群落面積は拡大したが、素堀溝との位置関係により拡大速度には違いが認められた。また、湿原内に自然侵入したシラカンバと排水路及び素堀溝の配置にも関連性が認められた。これらの空中写真から得られた結果に加え、1982年以降に部分的に調査した植生データや2002年以降に断続的に計測した地下水位データ等の実測値を用いて植生劣化のプロセスを検討するとともに、モニタリング方法や保全策について考察した。


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