| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-378 (Poster presentation)
河川の中流部には丸石河原と呼ばれる円礫の河原が発達することが多く、固有の植物が生育する。その1つであるカワラノギク(Aster kantoensis Kitam.)は環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類に位置付けられている。
本種は河原のなかにパッチ状に分布しており、このパッチを構成する集団を局所個体群と呼ぶ。局所個体群の内部における開花個体とロゼット個体の分布は一様ではなく密度に疎密があることが知られている。また、開花個体のサイズは、遺伝系統や土壌の栄養塩濃度による可塑性が大きいことが知られている。
以上から、生育地ではさまざまなサイズの個体がモザイク状に分布していることが予想されるものの、その状況を詳細に調査したものはまだない。そこで、本研究では開花個体のサイズに着目して分布の状況を調査した。
調査は、東京都福生市永田の多摩川右岸の丸石河原で行った。
本種の局所個体群内に25m×25mの調査区を設置し、全ての開花個体を対象とした。開花個体のサイズは草丈と茎の地際直径(以下、地際直径)を測定した。なお、近接する個体が同一の個体であるか否か判別できない場合は別個体とした。また、開花個体の生育位置は10cm単位の精度で測定した。次に、統計ソフトのRを用いて統計的な解析を行った。
調査区内における開花個体は1809株であった。草丈の平均は46±15cm(平均値±標準偏差)、地際直径の平均は5.72±2.50mm(平均値±標準偏差)であった。本発表では、統計的な解析手法を用いて、開花個体サイズと分布についての結果を整理する。