| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-380 (Poster presentation)
放牧草地において糞を餌とする食糞性コガネムシ類(以下、糞虫と略す)は牛糞分解に大きな役割を担っており、植生の維持にも影響を与えている。一方、放牧牛へ投与される内部外部寄生虫駆除薬(以下、駆虫薬と略す)の中には糞とともに体外へ排泄されるものがあるため、駆虫薬投与は糞虫の生存率を低下させ、ひいては牛糞分解を抑制する危険性があることが指摘されている。そこで4年間、定期的に駆虫薬を放牧牛に投与した草地と投与しない草地で牛糞トラップを用いて糞虫を採集し、糞虫相を比較したところ、近接した草地間であるにも関わらず優占種が大きく異なるとともに、多様度指数の値は駆虫薬を投与した草地の方で低い傾向が見られた。これら糞虫の群集構造の違いは競争種間で駆虫薬に対する感受性が異なることが原因の一つと推測されたが、駆虫薬が糞虫に与える影響を定量的に評価するための毒性試験法は国内では未整備である。そこで糞虫を用いた動物薬の毒性試験法を整備するため、「幼虫が地上部の糞を食べるタイプ」の習性を備えた種を用いて、イベルメクチンを基準薬とした毒性試験を試行した結果を報告する。