| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-494 (Poster presentation)

アマゾン中央部の熱帯林における細根動態の地形単位間での差異

*野口英之(1,2), Souza CAS(3), Silva RO(3), Ourique L(3), 諏訪 錬平(1,2), 梶本 卓也(1), 石塚 森吉(1), Ribeiro GHPM(3), Martins Pinto AC(3), Lima AJN(3), Dos Santos J(3), Higuchi N(3) (1: 森林総研, 2: JST/JICA-SATREPS, 3: ブラジル国立アマゾン研究所)

細根は森林の炭素動態の重要な要素であるが、アマゾンの熱帯林ではその動態は未だ十分に解明されていない。本研究ではマナウス近郊の熱帯林において、砂質土壌が分布する斜面下部と、粘土質の土壌が分布する斜面上部で、2010年11月から2011年11月までの期間、直径2 mm未満の細根の現存量および動態を調査した。

2010年には計54地点、2011年には計18地点でコアサンプルを採取して細根の現存量を測定した。また、イングロースコアを計54本埋設し、細根の生長量を測定した。さらにアクリルケース計18個を埋設し、スキャナを用いて約1ヶ月間隔で土壌断面をスキャンした。

細根の現存量は2010年には斜面上部(4.52 Mg ha-1)と下部(4.87 Mg ha-1)の間で有意差が見られなかったが、2011年には斜面下部(8.12 Mg ha-1)で上部(4.79 Mg ha-1)よりも有意に高かった。一方、イングロース・コアによる測定では、2010年から2011年の期間の細根生長量には斜面上部(3.25 Mg ha-1 yr-1)と下部(3.10 Mg ha-1 yr-1)との間で有意差がなかった。細根現存量は地形単位ごとに大きく変動することが示唆された。また、スキャナでは特に斜面下部でより活発に細根の成長と枯死が記録されていたため、実際の細根生長量はイングロース・コアによる測定値よりも高かった可能性がある。


日本生態学会