| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
シンポジウム S04-6 (Lecture in Symposium/Workshop)
気候変動が森林生態系炭素収支に及ぼす影響を検討することは,森林生態系機能の維持管理や大気への二酸化炭素フィードバックを評価する上で喫緊の課題である。温帯広範に優占する落葉広葉樹林では,その群落フェノロジーが光合成による炭素吸収および呼吸による炭素放出の季節変化に大きな影響を与える可能性を有する。このため,温暖化が進行する気候変動下における落葉広葉樹林炭素収支を知るためには,群落フェノロジーの環境応答特性を解明し,温暖化による群落フェノロジーの変化が落葉広葉樹林の森林生態系炭素収支にどのような影響を与えるのかを評価することが重要となる。デジタルカメラ画像や分光放射計測によって得られるリモートセンシング情報は,得られたデータを指標化することで,展葉・落葉のタイミングや葉面積指数のような群落フェノロジーの時空間分布の推定が可能であり,炭素収支研究に必要な多くの情報を供給する。ここでは,乗鞍岳中腹に位置する高山スーパーサイト(36º08’N, 137º25’E, 1420 m a.s.l.)を中心に展開している炭素動態計測,高空間分解能気象モデル,生態系モデル,地上・衛星リモートセンシングを有機的に組み合わせたプロットスケールから流域スケールの炭素収支研究を紹介するとともに,その中でのリモートセンシングの有用性について紹介する。