| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨


日本生態学会60周年記念シンポジウム 2

日本生態学会の世界展開-特に、アジアへの働きかけについて

中野伸一(京都大学)

日本生態学会(ESJ)の世界展開は、1960年代から始まる。1957年に国際地球観測年が開催され、1965年には国際生物学事業計画(IBP)が発足した。ESJは、1969年にはIBPを促進するために陸水生物学に関する共同利用センター化の検討を始めた。これが現在の京都大学生態学研究センター(CER)創設につながるのだが、CER創設の1991年にはDIVERSITAS(生物多様性国際共同研究計画)も設立された。1992年に、CERが窓口となって日本として提案した「共生生物圏:生物多様性を促進する生態複合」が国際生物科学連合(IUBS)、環境問題科学委員会(SCOPE)、UNESCOに採択されたこともあり、生物多様性研究を日本が主導的に進めるために、DIVERSITASに積極的に関わることが検討された。こうして発足したのが西太平洋アジア生物多様性ネットワーク(DIWPA)である。ESJは、DIWPA発足後はその努力をよりアジアに向けてきたのかもしれない。2003年には、東アジア生態学会連合も設立されている。DIWPAは、これまでに数多くの国際会議を開催し、国際野外生物学コースによるキャパシティ・ビルディングも行ってきた。また、基準化された手法でサイト横断的観測を行うDIWPA-IBOY(国際生物多様性観測年)も行った。さらに、ニュースレターや本の出版も行っている。ESJのアジア展開として近年顕著なものは、アジア・太平洋地域生物多様性観測ネットワーク(AP-BON)である。AP-BONは、地球規模での生物多様性観測ネットワーク(GEO-BON)と連携しながら、これまでに国内外で5回の国際ワークショップを開催し、昨年、アジアの生物多様性に関する本も出版した。今回は、DIWPAとAP-BONの活動を振り返りながら、生物多様性研究に関する他の活動との関わりや、将来的な展望を紹介する。


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