| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


企画集会 T02-1 (Lecture in Symposium/Workshop)

趣旨説明:REDDの仕組みと生物多様性セーフガード

奥田敏統(広島大・総科)

CO2排出削減活動と生物多様性保全

趣旨説明 REDDの仕組みと生物多様性セーフガード 奥田敏統

途上国での森林伐採・劣化に伴う温室効果ガス排出を如何に削減するかが、今後の温暖化対策を実施する上での重要な鍵を握っている。同時に途上国に集中する熱帯林の生物多様性の保全策は全球レベルで取り組むべき喫緊の課題といえる。近年、熱帯域の森林生態系を対象とした森林減少・劣化の防止による排出削減対策(以下REDD)が提唱され、途上国が温室効果対策として取り組める効果的な吸収源活動の一つとして期待がかかっているが、一方で熱帯林が集中すると途上国では自然資源への依存度も高く、一方的な価値観による森林の囲い込みや生物資源へ利用制限は返って社会的・経済的な混乱に招くことにも繋がる。こうしたことから、REDDの推進に当たっては、その際の地域社会・経済的な受容力や熱帯域の高い生物多様性への影響については細心の注意が必要であるとし、これらの項目がREDDのセーフガードの最重要項目として盛り込まれることとなった(COP カンクン合意)。そのためには、熱帯地域が抱える様々な社会的ジレンマを克服しながら、森林資源の持続的管理を目標に「科学的な根拠に基づく生物多様性保全の基準」が必要である。こうした背景から、本企画集会では、セーフガードのうち、生物多様性保全に焦点をあて、インドネシア・マレーシアなどの熱帯林および周辺地域でこれまでREDDの研究に携わってこられた専門家に「森林資源管理とCO2排出」、「生物多様性保全から見た森林管理」および「生物多様性保全を組み込んだREDDに向けた法的整備」について発表を御願いし、森林劣化の適正基準・指標をREDDに取り込む場合の問題点と実現性について、生態学的および法学的視点から議論を行う。


日本生態学会