| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


企画集会 T02-4 (Lecture in Symposium/Workshop)

REDDにおける生物多様性セーフガード確保に向けて

磯崎博司(上智大・環境院)

REDD+に関しては、気候変動枠組み条約および生物多様性条約において生物多様性や人権に関するセーフガードが示されているが、詳細な項目までは定められていない。他方で、そのセーフガードの基となる持続可能性および生物多様性に関しては、各種の条約などによって基準や手続きが定められおり、それらに共通する項目はREDD+において必要とされるセーフガード項目と重なっている。

それらの項目は、基本枠組み、対応方法および実施手法に大きく分類され、基本枠組みは、平等および衡平の原則、防止および予防の原則、ならびに透明性の原則から成る。次に、対応方法には、生態系基盤の原則、統合性の原則、地元主導の原則、内部経済化の原則が含まれる。また、実施手法は、CEPA、評価および法令整備、そして科学調査・観測から成る。

これらのセーフガード項目がREDD+事業の実施国において制度化されられることが肝心であるが、制度整備が進んでいない国も多い。その整備の促進ためには、気候変動枠組み条約からのアプローチが最善であるが、上記のようにそれは詳細ではなく、国際義務ともされていない。

そのような状況においても、REDD+事業を支援する国の国内法令を用いてセーフガードを確保することが考えられる。たとえば、セーフガード適格でないREDD+事業への関与、または、適格でないREDD+事業の成果の受け入れを制限することである。それには、適格性の判断において、事業実施国の国内法令の遵守を根拠にする場合と、事業支援国の独自の判断を根拠にする場合とがある。前者は、REDD+事業が行われる開発途上国の国内法令の遵守確保を、支援国の法令要件に取り入れることである。後者の場合は、内政干渉またはWTO体制との問題を生じさせないように法技術的な配慮が必要とされる。


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