| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


企画集会 T13-4 (Lecture in Symposium/Workshop)

状態空間モデルの実行方法と実行環境の比較

伊東宏樹(森林総研)

本講演では、状態空間モデルによる解析を実行するためのソフトウェアとして、RのパッケージであるdlmとKFASを紹介し、さらにMCMCによりパラメータ推定をおこなう方法として、BUGS系ソフトウェアおよびStanを使用する方法を紹介する。

dlmは、動的線形モデル(dynamic linear model)の解析をおこなうバッケージである。動的線形モデルとは、状態空間モデルのうち、正規分布かつ線形のものをいう。dlmでは、カルマンフィルターによる平滑化・予測がおこなえる。パラメーター推定では、最尤推定と、Gibbsサンプラーによるベイズ推定が可能である。

KFASも、パラメーター推定、カルマンフィルターによる平滑化・予測ができる。dlmとは異なり、ポアソン分布など正規分布以外の分布も扱える。パラメーター推定は、最尤法によりおこなう。

複雑なモデルでは最尤法によるパラメーター推定が困難になるが、そのようなばあいにはMCMCによるベイズ推定が有効であろう。BUGS言語によりモデルを記述し、WinBUGSやOpenBUGS、JAGSによりMCMCを実行することが可能である。

さらに、Stanによるベイズ推定を紹介する。Stanは、2012年にバージョン1.0が発表された新しいMCMC推定ソフトウェアである。Hamiltonian Monte Carlo法を使用し、モデルをコンパイルしてネイティブバイナリとして実行することにより高速に実行可能とされている。状態空間モデルをBUGSと同様にモデル化することも可能であるが、gaussian_dlm_obsという分布が用意されており、これにより動的線形モデルのパラメーター推定をおこなうこともできるようになっている。


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