| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
企画集会 T15-3 (Lecture in Symposium/Workshop)
プレッシャープローブ(PP)を用いると、細胞膨圧を直接計測することが可能であり、細胞溶液を採集し、浸透ポテンシャルを計測すると、細胞の水ポテンシャルが求まる。さらに、近年、採集した細胞溶液をPP内で高電圧印加することにより、イオン化させ、質量分析を用いての分析が可能となった。そのため、細胞溶液の分子の同定、定量も可能になりつつあり、リアルタイムでの代謝物計測が可能となり始めた。師管細胞は生きており、理論上は、PPで膨圧を測り、師管溶液を採集して、代謝物質の同定、代謝物濃度、輸送速度の計測が可能であるはずであるが、現実にはそこまでにいたっていない。
PPキャピラリー内のシリコンオイルに電導性物質を混合させることで、キャピラリー先端に採集された溶液に電圧を印加することが可能であり、エレクトロスプレーを誘導させてイオン化が可能となった。このイオン化された分子を質量分析計で検出することで、分子の同定と定量が可能となってきた。低分子代謝物質の分析では、アトモルレベルで検知可能なところまで来ている。
師管を通じての転流速度を間接的に求めることが、13CO2をフィーディングする実験で可能になっている。プレッシャープローブを使用すると、生きた細胞から細胞溶液を採集できる。イネの止め葉に13CO2をフィーディングし、穂についた玄米から細胞溶液を採集して、13Cにラベルされたショ糖分子を経時的に取れるようになった。フィーディング時間を調整することで、13Cにラベルされる代謝物を計測することが可能となり、どのように転流が起こり代謝が進むのか、組織を適切に選ぶことにより、計測が可能となる。水分状態計測も同時に可能であり、道管の機能に関連した水ポテンシャル、浸透ポテンシャルなどの水分状態計測も可能である。