| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
企画集会 T15-4 (Lecture in Symposium/Workshop)
植物と環境の相互関係の理解には,植物の生理生態的な振る舞いを継続的にモニタリングすることが重要である.精密・正確なモリタリングのためには,植物体への影響が小さく,かつリアルタイムで情報を得ることが可能な計測システムの構築と発展が必要不可欠である.これらの観点に基づいて,著者らは,植物体内の水・栄養塩の動態を非破壊的に高解像度で追跡することが可能な超小型維管束(道管流・師管流)モリタリングシステムの確立を目指して研究を進めている.
これまでに,主に高木を対象とした代表的な樹液流量測定法であるグラニエセンサ(ヒ-タ付き温度センサとリファレンスとなる温度センサより構成)に着目し,新規なマイクロ水分動態センサ(道管流センサ)を提案するとともに,そのプロトタイプの製作を行なってきた.このマイクロセンサの製作では,半導体微細加工技術を応用したMEMS技術(Micro Electro Mechanical Systems)を駆使して,マイクロプロ-ブ,温度センサ(pn接合ダイオ-ド),薄膜ヒ-タ等の構成要素を5mm程度のSiチップ上に機能集積化することに成功している.製作したマイクロセンサの大きさ(プロ-ブ径:約0.1mm,長さ:0.3~0.5mm程度)は,一般的なグラニエセンサに比べて1/10以下であり,直径数mm以下の道管内の道管水の流量を直接測定することが可能である.さらに,このマイクロセンサとマイクロシリンジポンプ,直径1mm程度のチュ-ブ,電子天秤等を組み合わせたシステム(擬似植物実験系)において,微小流量(流速:10~150μm/s)の測定が可能なことを確認しており,モデル植物を使用した計測試験も実施している.当日は,マイクロ栄養塩動態センサ(師管流センサ)と,それを用いた師管流計測システムについても最新の取り組みの一端を紹介する.