| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(口頭発表) E2-33 (Oral presentation)

格子空間における集団のダイナミクスの安定性について

佐藤一憲(静岡大・工)

生物集団のダイナミクスには,平衡点に収束する単純な場合からカオス的な複雑な場合にいたるまで,実に様々なものがある.一方,集団のもつ空間構造がそのダイナミクスに与える影響についても,これまでに多くの知見が得られている.ここでは,そのようなモデルのひとつである格子空間上でのダイナミクスを考えるが,格子点の取りうる状態が極めて限られているような場合には,複雑な挙動を調べた研究はほとんど報告されていない.これは,格子モデルは数理的な取り扱いが難しいために,有限集団のシミュレーションをおこなうことが多く,人口学的確率性としての変動は見られるものの,集団サイズが大きい場合のダイナミクスを明らかにすることはそれほど簡単なことではないからだと考えられる.ここでは,本来は複雑な挙動を示す場合に,格子空間上の集団ではどのようなダイナミクスが現れるのかという問題に取り組む試みとして,Brännström & Sumpter (2005a, 2005b)によって提唱された第一原理の方法を採用する.昨年度の本大会では,特にRickerモデルを中心とした結果を報告したが,Hassellモデル等の他のモデルとの比較をおこなうことによって,集団の空間構造の影響を明らかにする.

Brännström Å, Sumpter DJT. (2005a). Proc R Soc B 272: 2065-2072.

Brännström Å, Sumpter DJT. (2005b). Bull Math Biol 67: 663-682.


日本生態学会