| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-097 (Poster presentation)

ヤマガラにおける育雛時期と給餌行動

*早瀬晴菜, 近藤 崇, 肘井直樹(名古屋大・生命農・森林保護)

未成熟状態で孵化する晩成性の鳥類にとって、親から子への給餌は、子の成長と生存に対して大きな役割を持つ。親が子に与えることができる餌の量には、周囲の餌環境や親の労力などによる制限があるため、親はできるだけ多くの子を残せるように餌資源を配分する必要がある。演者らは、晩成性であるヤマガラ Poecile varius を対象として、繁殖戦略を餌配分の観点から明らかにするために調査を行った。

調査は、愛知県豊田市の名古屋大学稲武フィールドの40~50年生のカラマツ人工林で行った。2014年に繁殖したヤマガラ3つがいを対象とし、雛が8日齢の1日、巣箱内部の小型CCDカメラによる連続的録画撮影を行った。画像から、親の訪巣頻度、餌メニューと餌配分(各雛への給餌回数)を測定した。また、餌配分については、これに影響を及ぼす可能性がある要素として、雛の行動と体サイズを評価した。雛の行動は、画像から、給餌1回ごとの各雛のbeggingの強さと、巣の中での位置によって評価した。また、雛の体サイズは、カメラ観察前に各雛の体重測定を行うことにより評価した。雛の体重測定は、親の給餌の影響を評価するために、カメラ観察後と巣立ち前にも行った。

対象とした3つがいは、5月上旬から下旬の間に孵化し、つがい間で孵化日に最大2週間程度の差があった。育雛時期が比較的早かった2つがいでは、育雛中に雛の死亡が起こり、1~2羽雛が減少したのに対し、残りの1つがいでは雛の減少はみられなかった。これらの結果に基づき、今回は、雛減少が起こったつがいと起こらなかったつがいについて、それぞれどのような給餌(餌配分)が行われたのか、また、巣の中で死亡した雛はどのような雛であったのかについて考察する。


日本生態学会