| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-108 (Poster presentation)

ツキノワグマの行動データを利用したGPS首輪の省エネルギー機能の検討

*和田捺暉,山崎克之,山本寛,山本麻希(長岡技科大)

秋の主要な餌であるブナ(Fagus crenata)の大凶作年には、ツキノワグマ (Ursus thibetanus)の集落への大量出没が生じ、深刻な社会問題となっている.我々は3G通信を利用して位置情報をリアルタイムで転送するGPS首輪の開発を進めているが、放獣時には電池容量が限られることから、GPS首輪の消費電力を抑えてデータ取得期間を延長することは重要である。そこで本研究は、クマの睡眠中のGPSの測位をスリープすることで省電力化を図るため、飼育下のクマの3軸加速度データから、クマの睡眠と睡眠以外の行動を区別するアルゴリズムを作成することを目的とした。さらに、加速度の計測による電力消費量を抑えるため、行動を判別可能で最も長い加速度の計測間隔を求めることを目的とした。

自作した3軸加速度センサー付の首輪を飼育下のツキノワグマ4個体に1日~2日装着し、その間の約45%のクマの行動をビデオで撮影した。睡眠と睡眠以外の行動では、加速度データのばらつき方に差があったため、各行動について1分ごとに変動係数を算出した。3軸の加速度を説明変数、睡眠が起こる確率を目的変数としてロジスティック回帰分析分析を行い、睡眠と睡眠以外の行動を誤判別率20%以下で判別する式を作成することができた.また、加速度計の計測間隔を100msecから増大させた際のデータでも、睡眠と睡眠以外の行動の判別式が作成できるかについて検討した結果についても発表する。


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