| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-221 (Poster presentation)

オオキンケイギクの生活史にもとづく駆除方法の検討

*木下栄一郎(金沢大・植物園),壷内巧馬(金沢大・植物園),池嶋美佳((金沢大・植物園))

北米原産キク科多年草のオオキンケイギクは特定外来植物に指定されている。しかし本種の生活史はほとんど明らかになっていない。本研究の目的は本種の生活史を解明し、それにもとづいて効率的かつ効果的に駆除できる方法を開発することである。

本種の生活史を明らかにするために、2013年から2014年にかけて個体追跡調査を行った。実生の根茎は地中を匍匐し根出葉を順次展開し、数年間この状態を経て、匍匐根茎の成長とともに根出葉数が増加する。そして根出葉を12枚以上出す根茎の頂端分裂組織は秋に花芽に分化し、翌年の春に抽だいする。また本種は8月から9月にかけて側芽を伸長させるため、地下部は複雑に仮軸分岐し、大きな根茎となる。よって本種は種子繁殖と、根茎が分離することによる栄養繁殖の両方を行うことがわかった。

本種の生活史特性にもとづいた駆除方法を確立するために、駆除処理(6・8月刈取り、6・10月刈取り、無処理)の違いが集団に与える影響を調べた。その結果、6・8月刈取りは繁殖段階のサイズクラスが大幅に減少させるとともに、サイズ分布は全体的に矮小化させた。一方、6・10月刈り取りのサイズ分布はほぼ現状維持であった。無処理は繁殖段階のサイズクラスが大幅に増加させた。

本種を効果的に除去するためには、その生活史特性から、①種子繁殖を行わせない、②地下の根茎部を弱らせること、が必要である。6月刈り取りは種子繁殖を抑えるために必須である。8月刈り取りは側芽の分化をできるため、確実に根茎部の成長を抑制することができきる。したがって、6・8月刈り取りは駆除に時間(数年間)を要すると予想されるが、労力的にも生態系に与える影響の少なさという観点からも、効率的かつ効果的な駆除方法であるといえる。


日本生態学会