| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


シンポジウム S03-8 (Lecture in Symposium/Workshop)

ウナギの生息環境保全に関する行政の取組み

桝厚生(環境省)

平成25年2月、環境省は汽水・淡水魚類に関する第4次レッドリストをとりまとめて公表し、ニホンウナギを絶滅危惧ⅠB類として位置づけた。

これは、産卵場(マリアナ海溝)で捕獲された13個体のうち、淡水履歴がないものは4個体で、すべての個体で汽水履歴が確認されたこと、河川遡上個体の産卵への寄与が大きいとの指摘を踏まえ、環境省で次のとおり検討した結果である。

すなわち、「日本の河川に遡上する成熟個体数の総数及びその動向は不明であるが、漁獲統計から少なくとも成熟個体数の変動は読み取れる」と考え、漁獲統計を基にして3世代(ウナギの成熟年齢は4-15年と考えられているので、12-45年とした)の減少率を計算したところ、72~92%となった。これは環境省レッドリストの判定基準に基づき、絶滅危惧IB類(3世代において少なくとも50%以上は成熟個体が減少していると推定)に該当するものであった。

以上の状況を踏まえて、環境省は希少な野生生物保護の観点から、ニホンウナギの絶滅を防ぐためには、産卵に寄与する、河川に遡上する天然のニホンウナギ個体に着目し、未だ明らかになっていない生息環境を調査し、保全することが重要と考え「ニホンウナギ保全方策検討調査」を本年度から開始した。

本年度及び来年度の2年間で、全国のニホンウナギの分布状況を明らかにして保全努力を傾けるべき地域や水系を明らかにし、利根川(茨城県及び千葉県)、酒匂川(神奈川県)、西郷川(福岡県)、川棚川(長崎県)で現地調査を実施し、水系におけるニホンウナギの分布(河川に分布する密度の変化とそれを規定する要因)と好適な生息環境条件を明らかにする。さらに、現地調査結果等に基づき、専門家等による検討会を開催し、ニホンウナギの生息環境を保全、再生するための方策を検討したいと考えている(平成28年度予定)。


日本生態学会