| 要旨トップ | ESJ62 企画集会 一覧 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


企画集会 T07 -- 3月20日 9:00-11:00 J会場

分光生態学の幕開け ~野外での色と光の定量化を目指して~

企画者: 奥崎穣(北大FSC)

太陽光は幅広い波長帯の光(300-2500nm)を含んでおり,物体に当たったときの反射と吸収は波長ごとに異なる.そのため、生物体からの反射スペクトルは,その生態的,生理的情報を反映する.紫外域から可視域(350-700nm)の光は動物の視細胞を刺激し,色としての機能を持つ.生物の色彩は,捕食などの生物同士が直接接触する相互作用に重要である.一方,一部の可視光(450nm付近と650nm付近)はクロロフィルの機能を,近赤外以上の波長(700nm以上)は生物組織の構造と化学組成を反映する.これらの反射スペクトルからは植物の生理的状態を評価できる.反射スペクトルを測定するには,波長ごとの強さをセンサーで計測する分光器の使用が有効であるが,従来の分光器は大型で室内に設置しなければならず,生態学者にとって使いづらいツールであった.しかし,近年の技術的進歩に伴い,そういった問題点は克服されつつある.まず,受光素子とデジタル処理回路が小型化,省電力化したことにより,分光器は手のひらサイズまで小型化され,野外でのピンポイント測定が可能となった.一方,分光放射計で補正したデジタルカメラや画素ごとに波長の強さを計測するハイパースペクトルカメラにより景観レベルでの分光測定が可能になった.本集会では,分光測定が生態学者のニーズに応えるまでに進歩したことを最新の研究から紹介し,野外での定量的な光測定の普及を通して,個体から景観までの幅広いスケールでの生態学的現象の解明に寄与することを目的としている.

コメンテーター:小熊宏之(国立環境研究所)

[T07-1] 甲虫オサムシの色彩が脊椎動物の捕食圧に与える影響  奥崎穣(北大・FSC)

[T07-2] 光環境?捕食圧?琉球列島における陸生脊椎動物の体色変異  持田浩治(琉大・熱生研)

[T07-3] インターバル撮影カメラによる様々な樹種のフェノロジーの特徴検出  永井信(JAMSTEC)

[T07-4] ハイパースペクトル観測でみる樹木根のフェノロジーと形質  中路達郎(北大・FSC)


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