| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


企画集会 T16-4 (Lecture in Symposium/Workshop)

植物機能形質研究のこれから

片渕正紀(University of Florida)

生態系機能を定量化するために、機能形質を用いた研究が盛んに行われるようになってきた。その理由の一つは、測定の容易な機能形質を用いることで、これまで大量に計測するのが難しかった生理学的性質を定量化することができつつあるためであろう。例えば、生態系の炭素循環をシミュレートするためには、植物の呼吸速度の値が必要になるが、世界各地の植物の呼吸を測定するのは、ほぼ不可能である。しかし、測定の容易な機能形質から植物の呼吸速度が予測できれば、より精度の良い炭素循環モデルを開発することも可能だと考えられる。全球レベルでは、葉重量あたりの呼吸速度は葉面積あたりの葉重量という簡単に計測できる形質と相関することが知られているが、一つの森林群集内では、その相関は非常に弱い。このように生態系機能を定量化する上で、機能形質と生理学的性質の関係の理解が十分だとはまだ言えない。本発表では、機能形質と生理学的性質に関係について、これまで指摘さてれきた誤解や課題について紹介し、機能形質から生態系機能を定量化するための新しいアプローチについて議論したい。


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