| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-E-173  (Poster presentation)

河川の付着藻類を用いた環境教育教材の開発と実践

*南部祐大朗(明大院・農), 岡田久子(明大・農), 倉本宣(明大・農)

近年、子どもたちは自然の中で遊んだり、生きものと関わったりする様々な自然体験が著しく減少しており、学校教育でも、環境教育を取り入れる動きが盛んになっている。しかし、改善すべき課題は多く、教員の誰もが実践可能で、より横断的な学習につながる学習プログラムの構築は急務であると考えられる。そこで本研究は、身近な環境として河川を題材とし、河川生態系において大きな作用を与える付着藻類を用いた環境教育教材を3種類開発した。また、開発した教材を用いて、自然環境と生きものとの関わりを学び、環境志向的意識を育むことを目的とした学習プログラムを考案した。さらに、その学習プログラムの評価として小学生を対象とした体験活動を行った。

開発した教材は、[1]付着藻類の光合成による酸素の放出をクリーンガスバリア袋を用いて簡易的に観察する教材、[2]付着藻類の微小構造を顕微鏡の代替としてスマートフォンやタブレット端末を用いて観察する教材、[3]河川の自浄作用を簡易型の水路を用いて観察する教材である。また、これらの教材と「水生生物の採取」の4つの学習事項を組み合わせた学習プログラムを考案した。

体験活動は計2回実施した。第1回は野外での活動として、多摩川中流域の登戸で行い、学習プログラムの教材[1]、水生生物の採取を実施した。参加児童は14名であった。第2回は、屋内での活動として、明治大学生田キャンパスで行い、学習プログラムの教材[2]、[3]を実施した。参加児童は9名であった。それぞれの体験活動前後に実施した事前事後アンケート調査、活動中の児童の様子を記録した活動記録用紙、活動から2ヶ月後に実施した追跡調査等より、体験活動で試行した学習プログラムの評価を行った。その結果、考案した学習プログラムを受講することで環境を守るために進んで行動したいなど、環境志向的な行動につながる意識の変化が期待できることが示唆された。


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