| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-A-027  (Poster presentation)

ユビナガコウモリMiniopterus fuliginosusにおける同種/異種および自己/同種他個体の臭いによる識別

*小林朋道(公立鳥取環境大学)

ユビナガコウモリにおける同種・異種および自己・同種他個体の臭いによる識別能力が調べられた。野外の洞窟で採集された4個体のユビナガコウモリと3個体のキクガシラコウモリは1個体ずつ,底面に布手袋が敷かれた飼育容器の中で飼われた。コウモリは水を飲むときなどに底面を移動する際,布手袋に体を付けて移動し,ときどき布手袋の上に糞や尿を排出した。このようにして布手袋についた臭いの集合を体臭と考えた。2週間の飼育後に容器から取り出した,同種および異種,また自分および同種他個体,それぞれの体臭がついた布手袋をT字型の通路の両端に置き,実験コウモリを中央の通路から入れその後の行動を調べた。実験の結果,ユビナガコウモリは,異種の体臭が付いた布手袋よりも明らかに高頻度で同種の体臭が付いた布手袋のほうへ移動することがわかった。また,ユビナガコウモリは、同種他個体の体臭が付いた布手袋よりも明らかに高頻度で自分の体臭が付いた布手袋のほうへ移動した。


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