| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
企画集会 T10-6 (Lecture in Workshop)
動物の渡りや回遊は様々なスケールで行われており、動物生態の研究の中でもその解明は重要な位置付けとなっており、現在も様々な手法によるアプローチがなされている。現在ではGPS発信器など外装型装置を用いたものが盛んに行われ貴重な情報が集積されつつあるが、小型の動物では装着が困難なこと、多数個体の移動履歴を追跡するなどの場合には限界がある。
動物の生体内元素を指標に移動履歴を追跡する方法は、あらかじめ標識を施す必要が無く、対象となる動物を採捕できれば分析は行うことができる。また、1g以下の昆虫などでも適用可能である。ただし、時系列分析を行えない場合や均質な環境での移動を追跡することは困難な場合も少なくないなど、手法の特性を把握しで利用する必要がある
本報告では、主に生体内の微量元素を用い、昆虫、淡水・海産魚類および鳥類に関して、移動履歴を推定した研究を紹介する。小型の昆虫では全身、魚類では筋肉・肝臓を、鳥類ではできる限り非侵襲的な手法を開発するために羽毛を用い検討した。さらに魚類では時系列的な移動を追跡する手法として、硬組織である耳石中の微量元素に着目した手法も用いた。
それぞれの対象動物や手法に関して、その有用性と限界について議論する。